画面の外の世界は,あまりにも眩しすぎた. マジクは教室の窓から降り注ぐ日光に目を細めた.背景では先生の声がかすかに響き,黒板を擦るチョークの音や,ノートをめくる微かな音が幽霊のため息のように流れていた.彼の周りでは,他の子供たちが笑い,ささやき,生きていた. 彼は一人で座り,机の角を見つめながら,指で目に見えない線をなぞっていた.彼の意識はここにはなかった.あの中に——あの霧の中に,はぜる焚き火の音の中に,「不死の教団」について教えてくれたあの声の中にいた. 「彼らは人々の意識を奪い,ここに閉じ込めようとしているんだ」 カエルの言葉が頭から離れなかった.自分たちが戦った怪物の姿も.あのリヴァイアサンの目はうつろで,空っぽで,不気味なほど人間じみていた.絶望の形を纏った何かのように. それ以来,マジクはまともに眠れていなかった.目を閉じると,コードと霧,そして理解できない顔が見えた.時折,ささやき声が聞こえるような気がした.暗闇の中でデータが自分の名前を呼んでいるような. 彼は自分に,何でもないと聞かせた.怖くなんてないと.だが真実は,あの教団の何かが,どこか身近に感じられるということだった. まるで,自分から生まれたものであるかのように.
学校での一日
「マジク,聞いているの?」 先生の声が彼を現実へと引き戻した.彼は瞬きをし,驚いて顔を上げた. 「は,はい,先生」彼は口の中で呟いた. クラス中に小さな笑いが起きた.彼らの視線を感じる.面白がり,距離を置き,哀れむような目.先生はため息をつき,「手の施しようがない」と何かを呟きながら黒板に向き直った. マジクは再び視線を落とした.ノートは白紙だった. 彼は鉛筆を強く握りしめ,それは音を立てて折れた.数人の子供がクスクス笑った.彼は反応しなかった.代わりに,指の間にある折れた木片を見つめ,耳の奥で脈打つ鼓動を聞いていた. 奇妙だった.「エイエン」で過ごす時間が長くなるほど,この世界が現実ではないように感じられた.騒音,顔,笑い声——そのすべてが浅薄で,出来の悪い背景画像のように見えた.そして,誰かが彼を見るたびに,彼ではなく彼らこそが幻影なのではないかと思わずにはいられなかった. ログオンしたかった.霧が深く,声が優しいあの場所へ戻りたかった.だが心の奥で,静かな恐怖が彼を止めていた.もし「不死の教団」がそこで自分を待っていたら?
予感
昼休み,マジクは屋上に座っていた.眼下には灰色で遠い街が広がっていた.風が髪を撫で,一瞬,エイエンの森の匂いがしたような気がした. 彼は再びカエルの言葉を思い出した.「ここに閉じ込めようとしている」. もし,それが自分に起きたことだとしたら?グリッチが起きて目が覚めたあの日,本当は戻ってくるはずではなかったとしたら?エイエンはすでに一度,彼を自分のものにしていたとしたら? 弁当箱を持つ指が震えた.朝食を食べていなかったが,今や食べ物を見るだけで吐き気がした.胃がねじれ,目に見えない恐怖が背筋を這い上がり,胸が締め付けられた. かすかな,機械的なささやきが聞こえるようだった. 「我らはお前だ」 マジクは凍りついた. 周りを見渡したが,屋上には誰もいなかった.音は本物ではなかった.そんなはずはない.だがそれは,ノイズのように彼の意識に絡みつき,居座り続けた. 「我らはお前だ」 喉がカラカラになった.彼は鞄を掴んで走り出した.屋上のドアを押し開け,階段を駆け下りる足音が,無人の廊下に響き渡った.
放課後
家に着く頃には,日はすでに沈んでいた.両親はいなかった.最近はいつもそうだった.アパートは寒く,空気はタバコと古い麺類の微かな匂いで重かった. マジクは部屋の真ん中に立ち,机の上に置かれたVRヘッドセットを見つめた.薄い緑の光が,常に目覚め,常に見守っている瞳のように彼に向かって点滅していた. 彼は深く息を吸った. 「...もし僕が間違っているなら,それでわかるはずだ」 そして,彼はそれを装着した.
エイエンへの帰還
エイエンの世界が彼の周りで花開いた.霧が渦巻き,色彩が夢のように展開していく.聞き慣れた風がマントを吹き抜け,遠くで魔法の微かなうなりが脈打っていた. 彼は再び年上の体に戻っていた.背が高く,強く,「ミスティ・スリー」のエンブレムがマントの上で微かに光っている.彼は息を吐き,自分を落ち着かせた.恐怖は消えていなかった.ただ,より鋭くなっただけだ. 廃墟の近くではまだ焚き火が燃えていた.ミラが鼻歌を歌いながら火の番をし,リンは短剣を研いでいた.カエルは広場の端に立ち,霧を見つめていた. マジクの姿を見ると,ミラが温かく微笑んだ.「あ,戻ったわね.心配し始めていたところよ」 マジクは笑おうとした.「ごめん....やることがあったんだ」 カエルがわずかに振り向いた.「顔色が悪いな.何かあったのか,小僧?」マジクは躊躇した.「たぶん.わからないんだ」 彼は焚き火のそばに座り,炎を見つめた.「教団のことを考えていたんだ」 その言葉が彼らの注意を引いた.リンが好奇心旺盛に顔を上げた.「奴らがどうしたって?」マジクは激しく唾を飲み込んだ.「もし...奴らが僕たちの思っているような存在じゃなかったら?」 ミラが首を傾げた.「ただのならず者ギルドじゃないってこと?」 「うん.もし奴らが...別の何かだとしたら?ゲームそのものから生まれた何かだとしたら」カエルは眉をひそめた.「続けてみろ」 マジクは火影に映る自分の姿——疲れ果てた瞳を横切るオレンジ色の揺らめきを見つめた.「リヴァイアサンと戦ったとき,あいつがどう見えたか気づいた?まるで...人間みたいだった」リンは肩をすくめた.「モンスターなんてのはどれも不気味なもんだろ」「違う」マジクは声を震わせて主張した.「悲しそうだった.戦うのをやめたがっているみたいだった.存在してはいけないものみたいに」 他の者たちは不安げに視線を交わした. 彼は声を低くして続けた.「もし不死の教団がゲームを乗っ取ろうとしているんじゃなくて,奴ら自身がゲームだとしたら?ここで自分を見失った人たちの成れの果てだとしたら?」 ミラの笑顔が消えた.カエルの瞳が暗くなった. 「それはただの推測だろ」リンは無理に笑って言った.「そうだろ?お前がただ...予想してるだけだ」 マジクはゆっくりと首を振った.「今日,学校にいたとき,彼らを感じたんだ.声を聞いたんだ.彼らは僕にささやいた」 カエルが一歩近づいた.その口調は急に鋭くなった.「何だと?」「声を聞いたんだ」マジクは繰り返した.「彼らは言ったんだ...『我らはお前だ』って」 焚き火がパチリと音を立て,その音は必要以上に長く響くようだった.周囲の霧さえも息を潜めているようだった.
霧が深まる
カエルが彼の隣にしゃがみ込んだ.「いいか,よく聞け.お前には休息が必要だ.教団は恐怖に付け入る.それを利用して,何が現実かを疑わせるんだ.それが奴らの強みだ」 マジクは彼を見上げた.「でも,もし彼らが僕たちを怖がらせようとしているんじゃなくて,思い出させようとしているんだとしたら?」 「何をよ?」ミラが静かに尋ねた. マジクは彼女の視線を受け止めた.「ログインする前の,自分たちが誰だったかを」 長い間,誰も口を開かなかった. ついにカエルが立ち上がり,背を向けた.「もういい.調査は明日にする.今は誰も下層データフィールドには近づくな」 「でも——」「命令だ」 マジクは唇を噛んだ.カエルの声に怒りはなかったが,断固としていた.誰かを守ろうとする時の,あの口調だ.それは予想以上に胸に刺さった. 彼は力なく頷いた.「わかった」
エイエンの真夜中
その夜,マジクは眠れなかった.火は小さくなり,霧は生き物のようにキャンプの近くまで渦巻いていた.ミラとリンは眠り,カエルはいつものように静かに,不動の姿勢で見張りに立っていた. マジクは静かに起き上がり,霧の中へと歩き出した.空気は冷たく,あらゆる音が遠く感じられた.まるで世界が,彼が動ける程度に,かろうじて形を保っているかのようだった. 彼は石碑が光る文字で覆われた廃墟の近くで足を止めた.彼が手を伸ばすと,指の下でシンボルが脈打った. 「おかえりなさい,旅人よ...」 今度の声は違った.温かくもなく,人間味もなかった.ノイズが重なった,虚ろな声.彼は一歩下がった.「誰だ?」 答えはない.ただ霧が動き,ささやく音だけがする.すると——かすかに,あり得ないことに——霧の中に何かが見えた. 一つの人影. それは自分に似ていた.だが,この年上の姿ではない.本当の自分だ.7歳の子供が霧の中に裸足で立ち,鈍く悲しげな瞳をしていた. マジクの心臓が止まった.「...僕?」 その子供は微かに微笑み,首を傾げた. 「我らはお前だ」 マジクは後ずさりした.「違う...君は本物じゃない」 しかし子供は,光り輝くルーン文字を指差すだけだった. 「我らは,お前が希望を捨てたときに残るもの.我らは,ここに留まったお前の一部だ」 霧がその姿を丸ごと飲み込み,沈黙だけが残った. マジクは震えながら膝をついた.その言葉が呪いのように頭の中で反響した.「我らは,ここに留まったお前の一部だ」. 不死の教団の正体は,本当にそれなのだろうか?プレイヤーの集団ではなく...壊れた心の破片,絶望から作られたデジタルの幽霊なのか?
告白
翌日,彼はすべてを話した. 彼らは再び焚き火を囲んで座り,朝の光が霧を切り裂いていた.マジクの声は話し始めると震え,手は固く握りしめられていた. 「自分を見たんだ.本物の僕を.霧の中で.彼は,教団は...僕だって言った.あるいは,僕みたいな人たちのことだって」 リンは力なく笑った.「そんなの筋が通らないぜ」 ミラは笑わなかった.彼女は哀れみの眼差しを彼に向けた.「たぶん,私たちが思いたくないだけで,筋は通っているのかもしれないわね」 カエルの顎が強張った.「この教団が,人々の痛みから生まれたと考えているのか?」 マジクはゆっくりと頷いた.「絶望から.現実世界に耐えられなくなった心から.たぶん,ゲームがその悲しみを取り込んで,何かを作り出したんだ.死ぬことのできない何かを」 カエルは長い間彼を見つめた.そしてほんの一瞬,マジクはその瞳の中に「自覚」を見たような気がした.痛み.後悔. やがてカエルは優しく言った.「お前がそんな考えを抱える必要はなかったんだ,小僧」 マジクは視線を落とした.「僕がずっと抱えてきたのは,それだけだったから」 再び沈黙が流れた.ミラは誰も見ていないところで目元を拭った.リンは地面を蹴り,小声で毒づいた. ついにカエルが立った.「なら,奴らと向き合おう.一緒にだ」 彼はマジクに手を差し伸べた.少年は一瞬躊躇したが,その手を取った.デジタルの接触が,彼の心に不思議な温もりを伝えた.物理的なものではなかったが,それがすべてコードであることを一瞬忘れさせるほどに,本物だった.
結びの場面
その後,教団が集まると噂される暗い土地へと出発した彼らは,尾根の端で立ち止まった.眼下には光の野が広がり,データウェーブがガラスの海のように煌めいていた.遠くでは,霧の中で奇妙な人影が動き,低くささやいていた. 彼らが再び自分を呼んでいるのが,聞こえるようだった. 「我らはお前だ」 彼は静かに自分を見守るカエル,ミラ,リンの方を向いた.「たとえそれが本当だとしても」彼は静かに言った.「僕は奴らと向き合うよ.もし奴らが僕なら...僕が奴らを救えるかもしれないから」 カエルは一度頷いた.「なら,俺たちも手伝おう」 マジクは微かに微笑んだ.恐怖はまだそこにあったが,もう支配されてはいなかった.初めて,勇気に近い何かを感じていた. 霧の中へと下りていく彼らのエンブレムは,より一層輝きを増した.終わりのない灰色を切り裂く,3つの黄金の光. そしてどこか遠く,現実世界の小さな暗い部屋で,7歳の子供がかすかな微笑みを浮かべて眠っていた.自分がすでに手に入れていた家族の夢を見ながら.
第3話:教団の残響 完
